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心の命ずるままに
冬のエゾタヌキ
2008-12-01 Mon 21:13
0811エゾタヌキ

それでは、今回は久しぶりに円山動物園の仲良し家族の登場です。
とても暖かそうなモコモコの毛皮を着込んで、相変わらず仲良く体を寄せ合っていました。
そして今回、さらに前回同様 「 生けるもののふるさと森林~富良野・森だより 」 から、
この愛すべき動物に寄せた文章を併記します。 

ところで、この作者である有澤浩 ( ありさわ・ひろし ) さんの略歴は下のとおりです。
この方は、東京大学農学部附属北海道演習林で、これまで何度か紹介しました 「 どろ亀
さん 」 こと故 高橋延清先生の下で働いていて、 「 どろ亀さん 」 を人生の師と仰いでおら
れるとのことです。

有澤浩 ( ありさわ・ひろし )
1936年、北海道富良野生まれ。 1955年、北海道立富良野高校卒、東京大学農学部
附属北海道演習林・森林動物研究室勤務。 同助手を経て、1997年停年退官。

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エゾタヌキ ~ 逸話の多い仮死の得意な愛すべき獣
    「 生けるもののふるさと森林~富良野・森だより 」 より


読者の多くは、おとぎ話の 「 カチカチ山 」 、童謡の 「 証城寺(しょうじょうじ) の狸囃子
(たぬきばやし) 」 をごぞんじであろう。 いずれもタヌキが主人公である。

前者は人間をからかい、だまし、化け、あげくには殺しまでやってのけるかと思えば、
簡単に自分もだまされてしまう。 後者は、月夜にのこのこと集まり、むじゃきに浮かれ、
はしゃぐといった設定である。 もちろん擬人化されたものではあるが、これらにはタヌキ
のもつ狡猾 ( こうかつ ) 、陰湿、とんまさが集約されていておもしろい。

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タヌキは犬の仲間であるが、いたって小心者である。 突発的なショックに遭うと、驚きの
あまりに気を失ってしまうのである。 精神病理学的には、ヒステリー発作という範ちゅう
の症状だろう。

私自身も油断しているエゾタヌキに投石し、みごと命中、失神させた経験をもつが、先輩
のM氏はドライブ中に、わずかに接触しただけでころりと仮死状態になったのを見ている。

また、紀伊半島の自然にくわしい宇江敏勝氏は、犬に吠えたてられ身動きがとれずにい
るタヌキの頭部をコツンと殴り、失神させた話を残されている ( 『やまびとの動物誌 』 )。

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タヌキはイヌ科の動物でももっとも進化していない種といわれている。 攻撃力、逃走能
力が劣っているのである。 弱肉強食の自然界にあって、こうした弱点をどうカバーして
きたのだろうか。 カギは、この失神にあるものと考えられるのである。

たとえば、日常経験する犬や猫の闘争を思い浮べてみると理解しやすい。 双方がエキ
サイトしている場合はもちろん、片方が逃げ腰の体勢をとろうものなら、他方はよりいっそ
う強者気分を増長させ、かさにかかって攻撃を加えるのがふつうである。

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タヌキの場合、反撃力も弱く、四肢の短いずんぐりとした体躯では、機敏に逃走すること
もままならない。 とすれば、急に仮死状態になることで、かえって命びろいをする機会
が多いのではなかろうか。 たとえば、強い敵に攻撃を受けた場合、受けて立つ代わり
に失神することによって、相手の気分をそぎ、すきをみて逃走する。

このような自己防衛行動をみせる動物には、他にオポッサム ( 有袋類 ) 、ハイエナ、
南米に生息するイヌ科の動物にもみられることが知られている。 こうした行動は、逃走
力や攻撃力を発達させて進化してきた他の哺乳類とは異なり、より原始的な反応ともい
えるのである。

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“ 狸の腹鼓 ( はらづつみ ) ” は、野口雨情の 「 証城寺の狸囃子 」 であまりにも有名
である。 私は 3年間 2頭のエゾタヌキを飼育したことがあるのだが、その間、一度も見
たことも聞いたこともない。 しかし、先の宇江敏勝氏は聞いている。

それによると、遠くからの場合、プン・・・プン・・・プン・・・。 近くだと、フォン・・・フォン・・・
フォン・・・ と聞こえ、距離をへだてると透明になり、あるいは何頭もの声が交錯すると、
まるで鼓の音のようにリズミカルに聞こえるという。

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秋ごろに見るエゾタヌキは腹部が大きい。 それは春からの毛替わりで下腹の部分だけ
が遅れ、秋まで残るからだ。 そのうえ、足が短く、胴のずんぐりと太いスタイルだから、
当然、外見的にはおなかの大きな動物に見える。

また、気分のよい時など犬がよくやるように仰向けになって寝ころぶこともあり、そんな時
にシッポでも動かせば、腹を打っているように見えないこともない。 夜行性でしかも、もの
おじしない性質などから、自然の豊かだった往時、月夜には特に人目にふれることが多か
ったものと考えられる。 「証城寺の狸囃子」もこんなところから生まれたのではなかろうか。
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この記事のコメント
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2011-05-10 Tue 11:51 | | #[ 内容変更]
ご返事
↑ メールを差し上げたところ未着になってしまいましたので、この場でご返事します。
お申し出はOKですので、ご自由にお使いください。
それでは・・・
2011-05-10 Tue 21:29 | URL | のぼのぼ #-[ 内容変更]
「私自身も油断しているエゾタヌキに投石し、みごと命中、失神させた経験をもつが、」
エゾタヌキの画像は可愛く撮れていますが、
「私自身も油断しているエゾタヌキに投石し、みごと命中、失神させた経験をもつが、」の行為は酷いですね。
2016-08-10 Wed 05:03 | URL | #-[ 内容変更]
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